幅広いジャンルの料理にどんどん挑戦ができて、やりがいがあります。
老人ホームと聞くと和食を連想するかもしれませんが、〈ゆうゆうの里〉では、偏ることなくあらゆるジャンルの料理を提供しています。ですから、料理に関する幅広い知識や力量が身につけられます。また、自分の考えたメニューやアイデアもどんどんカタチにでき、その料理がご入居者から「おいしかったよ」と認められた時には、料理人としての喜びを感じることができます。人と接することが好きな方には、とてもやりがいのある職場だと思います。
調理師学校を出てここを選んだ理由のひとつに、人と接する仕事がしたいということがありました。もともと年上の人と話すのも好きで、そんな人たちから「おいしかったよ」と言われると、料理人冥利につきますね。「あまり好みじゃなかった」などという苦言もいただきます。近しい関係だからこそ反応もダイレクト。その言葉を真摯に受け止めて、もっとおいしいものをと頑張る。私の料理の腕は、ご入居者に育てていただいたと言えますね。食事というのは、ご入居者にとって大きな楽しみのひとつなので、大げさに言えば感動や喜びを与えるために、メニューづくりも欠かせません。昔は図書館でいろいろ調べたり、今ではインターネットも見たりして、新しいメニューを開発しています。和食、洋食、そして流行りのデザートなど、いろんな料理に挑戦できるので、私自身、とても楽しく取り組んでいます。
私が入職したのは27年前で、その頃からずっといるご入居者は何人もいます。もしかするとその方にとっては、人生でいちばんたくさん食べたのが私の料理である可能性もあり、そう思うと感慨深いですね。365日、朝・昼・晩と食事を出す。仕事であっても、家族のためにつくっているのに近いのかもしれません。だから、どんなに忙しくても手は抜けませんね。世の中に腕がいい料理人は、たくさんいます。でも、きっとそれだけでは、ここの仕事はできないかもしれません。自分のつくった料理を、長年にわたり食べてくださる人を思うこと。それがなかったら、27年もやってこられなかったでしょう。ご入居者には、「いい腕をもった料理人」ではなく「いい人間性をもった料理人」と思われたいですね。